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サッカー戦術について整理します

サッカー戦術の仕組み(2010)3人目の動き②

サッカー戦術の仕組み(2010)湯浅健二



3人目の動き


相手DFラインの前後のエリアや、ペナルティエリア内では、ほぼマンマークを受けるため、自由にプレーできるよう、相手のディフェンスを崩さなくてはならない。つまり、3人目のマークを引き付ける役や、3人目のパスを受ける選手がいれば、パスコースも増え、攻撃のバリエーションも増える。


相手のスキがどこかに生じれば、また、マークがついていない選手がいれば、得点に結びつく事になる。




サッカーの攻撃は、相手の動きを逆手にとって、詰み将棋の様に美しくあるべきである。ひとりドリブルで抜き去ってひとりで得点するようなシーンは、超天才ドリブラーマラドーナがいた時代で既に終わっている。現代のJリーグでそんなものは通用しなくなっている。

伝説の名実況 「マラドーナの5人抜き」 NHK山本アナ





実は、カマタマーレ讃岐の2015年の戦術にもとにかく前にひとり待機している木島選手にロングパスを出せという「戦術木島兄」があったが、今見ても面白い。
しかし、当時は通用しても、いまはありえない。
そんな指示を出す監督がいたら、勉強が足りていない監督として即刻退陣していただく他ない。


戦術木島

木島良輔選手 11月の月間ベストゴール選出





2006年、オシム日本代表監督就任から、Jリーグにおいても、日本が目指す組織的なサッカーは、考えて走るサッカーができる選手を、サッカーIQの高い選手と呼び、走れなければいいサッカー選手とは呼ばれなくなった大きな転換期があった。


以降、テクニックに優れていても、ドリブルに強い選手でも、走れない選手は、代表に呼ばれなくなった。



走る選手は、トラッキングデータが普及しているので、総合距離とスプリント回数が一目でわかってしまう。
無駄にがむしゃらに90分間走っているのではなく、考えて、いち早くスペースを埋めるために走っていることが求められている。



「ボールのないところで勝負は決まる。」



オシム監督は、オフザボールの動きの戦術を浸透させ、日本に決定的に欠けていた 走る=戦術 の部分を求め「ハードワーク」を「日本の美徳」と位置づけ、確実に日本代表を強くしていった優秀な監督であった。




次に進めます。



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池田書店