対戦相手分析のフレームワーク

2020/08/19 00:17

モダンサッカーの教科書（2018）レナートバルディ

対戦相手分析のフレームワーク

イタリアではスカウティング講座で使われているスタンダードな方法となっている。

４つのフェーズ＋セットプレー
（攻撃、ネガティブトランジション、守備、ポジティブトランジション、セットプレー）
にて対戦相手を分析する。

４－４－２や４－３－３のシステムは、参考にはするが、個々のポジションよりも、個々の選手が担っている役割を分析することに重点を置く。

分析例
日曜日に試合がある場合　

木曜日には対戦相手の守備とポジティブトランジションについてのビデオを見せ、どのように攻略するか戦術的な対応策を説明した後に、ピッチで具体的なトレーニングを行う。

金曜日には対戦相手の攻撃とネガティブトランジションについてのビデオを見せ、守備の局面と、そこからどのようにポジティブトランジションに持ち込むかトレーニングを行う。

土曜日にはセットプレーの分析と対策のトレーニングを行う。

〇守備の局面その１　プレッシング（ファイナルサード、ミドルサード）
相手の監督がプレッシングをどんな狙いで、どのように行うかはっきりと読み取ること。
どの高さでプレッシングが開始されるか、どのゾーンに追い込んで奪おうとするか、プレッシングのスイッチを入れる選手は誰か。
相手のプレッシングをかわすことは、相手のプレッシャーラインを超えるため不可欠です。
対策は、ファイナルサードCBにはプレスに行かず、最終ラインを押し上げコンパクトな陣形を保ち、パスの受け手に対してプレッシャーを与える、守備的プレッシングと
相手のCBに前線から積極的にプレスに行く、攻撃的プレッシングの２通りがある。

〇守備局面その２　組織的守備（ファーストサード）
基本スタイル、最終ラインの高さ、縦方向の横方向のコンパクトネス、守備の起点、DFラインは異なるシチュエーションでどう振舞うか。
組織的守備時の陣形とビルドアップ時の陣形が異なる場合が多い。
どのシステム陣形にも弱点はあるので、どのように対応するか想定しておく。

〇ポジティブトランジション（守→攻の切り替え）
プレッシングで奪った時は、ショートカウンターを選択するチームが多いが、組織的守備で奪った時は、縦へのカウンターを撃ってくるか、ビルドアップから始めるか、先に見極めておき、カウンターに対して予防的なケアをしておくことができます。
モダンサッカーでは、全員攻撃、全員守備が基本ですが、先に回りして前に残る場合でも、1人が基本となります。戦術的に残るFWも、アンカーやセントラルミッドフィルダーへのプレスに行かなければならないタスクが重要になってきているからです。

〇攻撃の局面その１　ビルドアップ
攻撃はGKやCBを起点として、最初のプレッシャーラインをどのルートで突破してくるかがビルドアップ局面と、
相手陣内へ運んでからシュートに至るまでの局面に大きく分けられます。
GKからのゴールキックは、セットプレーに分類されます。
ダイレクトに前線を狙うダイレクトなビルドアップか、パスを繋ぎポゼッションによるビルドアップに分かれます。
ダイレクトなビルドアップは、ロングパスキッカーは誰か、スイッチを入れるのは誰か、ターゲットは誰かを見極めることになります。

〇攻撃の局面その２　ポジショナルな攻撃
組織的な陣形を整えている相手に対して、ミドルサードからポゼッションを確立したところからのフェーズとなります。
2ラインの間、裏、サイドのどのエリアを誰が突いて決定機を作るか攻撃のバリエーションを分析する。

〇ネガティブトランジション（攻→守の切り替え）
ゲーゲンプレスか、リトリートして組織的な守備に戻すのか、攻撃しているときに予防的なカバーリングをどのように対応しているか見極めます。

〇セットプレー
ゴールキックは一番大事。誰もフリーにさせずに、ゴールキックの受け手を封じる。
スローインは受け手が出し側に戻すと、フリーでクロスを出されてしまうためケアする必要があります。
コーナーキックは、誰が蹴るのか、どのエリアに何人入ってくるか、コーナーキックは、wyscoutなどですべて丸裸にされるので、研究することも容易となって、相手の虚を突くことが難しくなっている。

このように、チェックポイントだけを評価しても相手チームを分類することが可能となっている。

この本は、サッカーの観戦力を高めるノウハウが多く掲載されているので、次に続けます。